企業出版を最大限活用するため事前にチェックするべき5つのポイント
今回は、企業出版を最大限活用していただくために、あらかじめ事業でチェックしておいた方がよいことについて紹介していきます。
売る商品やサービスが優れていることは前提とさせていただいておりますが、それでもこの記事で紹介するチェックポイントをクリアすることでより効果を発揮しやすくなると考えております。
ここで紹介するのは、企業出版に取り組まない際にもきっと役立つと考えておりますので、既存の商品やサービスの改善はもちろん、新しい商品やサービスを開発する際にも、ぜひ参考にしてみてください。
記事の目次
差別化できているか
大企業の場合は商品やサービスを資本力、組織力を武器として販売していくのが一般的です。
これは、それが最も効率的に売上、利益を上げられるためです。
一方の中小企業は、この資本力や組織力が不足しています。
どうすればよいでしょうか?
当然ですが、資本力や組織力を必要としない戦略を考えなければいけません。
そうでないと、仮に成果が上がった施策でも大手が同じビジネスモデルで参入してきたらたちまち計画が狂ってしまいます。
では、資本力や組織力を必要とせずに販売することが可能となる商品やサービスはどんなものでしょうか。
それは、他社と差別化できていて特定の顧客にズバリ刺さる商品やサービスということになります。
マス向けの商品やサービスは大手企業が勝ちやすい一方、ニッチな市場となると大手企業がそもそも参入してこなかったり、参入してきたとしてもそこまで力を入れてこない可能性が高くなります。
マス向けの商品やサービスは大多数の人に受け入れられる必要がありますが、中小企業であれば特定の人だけに「これは是非ほしい」と言ってもらえることが理想です。
具体的にどうすればよいかというと以下のような方法があります。
ターゲットを限定する
特定の商品やサービスに集中する
これ以外にも、他社よりも圧倒的に低価格を実現できるのであれば価格で差別化を図る方法もありますが、中小企業には難しいケースも多いはずです。
上記2つの方法を例を挙げるとすれば以下のようになります。
差別化戦略① ターゲットを限定
【ターゲットを限定する場合の例】
ホームページ制作会社が、建設業社のみをターゲットにしてサービスを展開する。
ターゲットを明確にすることによって、見込み顧客は「自分のために必要だ」と感じてもらいやすくなり、会社にノウハウもたまりやすくなります。
仕事を依頼するクライアントに対しても業界特有のルール等にも詳しい会社なんだと感じてもらいやすく、結果として受注しやすくなります。
ターゲットを限定したうえで企業出版に取り組めば、独自のノウハウをアピールでき、成果も期待しやすくなります。
差別化戦略② 特定の商品やサービスに集中
【特定の商品やサービスに集中する場合の例】
デジタルマーケティングの会社が、コンテンツマーケティングサービスに特化して展開する。
デジタルマーケティングをサービスとして展開している場合には、SEOやPPC広告、Facebook広告やコンテンツマーケティングなど、多彩なソリューションを用意しているケースが多いはずです。
でも、ワンストップで色々なソリューションが提供できる会社は多く、結果として他社との違いが分かりづらくなることも少なくありません。
特定のサービスに集中していることをアピールすることで差別化につながりやすく、企業出版の効果も発揮しやすくなります。
差別化は、企業出版に取り組むかどうかに限らず、中小企業にとって基本の戦略です。
本の企画を考える際にも、他社との差別化ポイントは必要となる項目なので、自社の差別化ポイントについて考えてみてください。
売れる商材になっているか
当たり前ですが、商材は大切です。
極端な話ですが、売れば売るほど赤字になってしまう商材を売るためにマーケティングや営業に取り組もうと考える人はいないはずです。
特に、企業出版での販売促進に取り組むのであれば、付加価値の高い商材が適しています。
そして、付加価値の高いことに加えて売れる商材であることも大切です。
これも企業出版に限った話ではありませんが、新しい商材を売るために、販売促進に多額の費用をかけてしまうのは考えものです。
というのも、その新商材がターゲットにとってメリットが分かりやすくい、売れる商材になっていない可能性があるからです。
マーケティングには、プロダクトマーケットフィット(PMF)という考え方があります。
直訳すると「商品(商材)が市場(クライアント)と適合している」ということになります。
完全にPMFを実現すれば自然と売れていく状態も期待できますが、それが難しくてもある程度のクライアントの顧客満足が実現できた商材であるという実績はほしいところです。
どれだけマーケティングに力を入れて、多額の費用をかけたところで誰にとっても魅力のない商材を売ることはできません。
一方で、顧客満足が実現できている商材で、その商材の魅力を伝えることが難しいという状態の時、まさにどのように売るかについて考える段階と言えます。
その際は、企業出版を選択肢に入れてみるとよいでしょう。
ホームページなどは整っているか
昨今、BtoB事業であってもブランディングの必要性が叫ばれるようになってきました。
採用や社内のモチベーションアップを目的としたインナーブランディングもあれば、この事業ならこの会社といったように第一想起を狙うブランディングに力を入れる企業も増えてきています。
これは、ブランディングの実現が業績に直結するからに他なりません。
経済合理性から考えればA社を選ぶべきだったけど、結果としてB社が選ばれてしまった。
こんなことってないでしょうか?
特に、ブランディングが実現できている企業とのコンペになった際に、費用面でも技術面でも勝っているにもかかわらず、相手が選ばれてしまうというケースが起こりえます。
BtoBにおける経営判断は、その後の会社の業績を大きく左右する可能性があります。
そのため、単純な経済合理性に加えて、心理的に安心できるからといった理由も経営判断に大きな影響を与えるのです。
そして、心理的に安心できると思ってもらえるのがブランディングの効果です。
とはいえ、多額の費用をかけましょうという話ではありません。
大手企業ではロゴに何千万円ものお金をかけるケースもあるかもしれませんが、それだけの費用があれば他にやれることがたくさんあるはずです。
また、ロゴやコーポレートカラーを整えることがイコールブランディングというわけではない点にも注意が必要です。
ブランディングにおいて大切なのは、
何の会社か
何を得意としているのか
企業のイメージカラーや社風
を分かりやすく伝えていくことです。
なぜ、このような話をするかというと、ブランディング目的で企業出版に取り組みたいという相談を受けることが多いのですが、ホームページや会社案内、名刺などがお世辞にもまとまっているとは言えないケースが多々あるからです。
そんな状態で仮に企業出版だけに取り組んだとしたらどのような結果になるでしょう?
なんだかちぐはぐな会社だなぁ、といった印象を持たれかねません。
企業から発信するメッセージは
出版する本
ホームページ
会社案内
名刺
などで統一しましょう。
ロゴやコーポレートカラーなど見た目を整えることがブランディングではないという先ほどの発言と少し矛盾を感じるかもしれませんが、当然ある程度見た目のきれいさも大切ではあります。
分かりやすく伝えるために、企業が発信するクライアントの目に触れるものは最低限整えてから企業出版に取り組みましょう。
費用の準備はできているのか
企業出版は未来に向けた投資として考えるべきですから当然、かかる費用についても考えておく必要があります。
企業出版に取り組むとなると、ライターさんの原稿作成費用に加えてDTPや編集にかかる費用、製本や表紙等のデザイン費用、印刷製本など多数の人が関わって作ることになります。
そのため、数百万円以上の費用がかかるのが一般的です。
それに加えて、本に図表やイラストを入れたいと考えた場合はその制作費用もかかりますし、出版社によっては、文字数が増加することによって追加で料金が必要というケースもあります。
まずは、これらの本づくりにかかる費用をしっかりと把握しておくことが大切です。
加えて大切なのが、出版後の販促や配布のための費用についても計算しておくことです。
企業出版で作る本は、手に取ってもらって初めて効果を発揮します。
そのため、見てもらうために労力や費用をかける必要があるのです。
例えば、これまで名刺交換した人や、クライアント、失注客などの2000のリストがあった際に、そのリストに送付して商談アポを獲得していくという戦略を考えたとします。
その場合には、最低2,000部は印刷製本しなければなりませんし送料もかかります。
これらの費用をあらかじめトータルで考えておく必要があるのです。
本は作り始めると非常に楽しいものです。
特にモノ作りが好きな人は、装丁などの出来栄えにもこだわるようになっていく可能性があります。
でも、モノづくりに費用をかけすぎて、その本を活用するための費用がなくなってしまっては本末転倒です。
ちなみに、昨今、企業出版にかかる費用は少しずつ値上がりしている印象があります。
1,000万円以上の費用の見積もりとなるケースも珍しくなくなってきています。
ただ、売上アップを狙う企業出版の場合、1冊の本に費用をかけすぎるのはあまりおすすめできません。
というのも、キャッシュアウトが大きければ大きいほど、その費用を本業で回収するのが困難になるためです。
私も様々なサービスを受ける中で、費用が高いとそれだけ効果がありそうだなと感じることもあります。
ただ、売上アップを目指す企業出版の場合、費用が高いことが必ずしも効果が高いという結果には結び付いていないと感じています。
参考記事:売上アップを狙って企業出版する際の費用対効果について
かけられる労力があるかどうか
企業出版にかかるのは費用だけではありません。
ある程度の労力が必要になります。
このある程度のというところがなかなか難しいのですが、プロジェクトによってどれぐらいの労力がかかるかは大きく異なります。
出版プロジェクトにおけるそれぞれの過程で、経営者にどのような作業が発生するかを簡単にまとめておきますので、参考にしてみてください。
※企業出版の一般的な例としてライターを利用して原稿を作ることを前提として解説しております。
①企画
企画段階には、経営者がぜひ参加してもらいたいところです。
とはいえ、何かを用意するというわけではなく、一般的には打ち合わせに参加してもらって意見を聞くという形で大丈夫なケースが多いです。
企業出版の場合、出版する目的や事業内容について出版社からヒアリングを受け、そのヒアリングを基に出版社が企画をまとめていくという形が一般的です。
ただ、企画の方向性がある程度決定した後の目次構成を決める際には、経営者自らが本にふさわしいコンテンツを洗い出していただく必要があります。
そこまでの労力がかかるわけではありませんが、打ち合わせの時以外にも多少頭を使う時間が必要となります。
②取材
原稿のベースとなる取材は、基本的に経営者自らが答えていただく必要があるので、ここが一番時間がかかる事になります。
文量にもよりますが、最低でも2~3時間×2~3回は必要になると考えておいた方がよいでしょう。
経営者は自社の仕事のほとんどが頭に入っているケースが多いので、事前準備はそこまで必要とならないケースが多いですが、場合によっては資料などを用意いただくとスムーズに進みます。
ちなみに、部分的に社員に取材に応じてもらう場合もあります。
特に事例を紹介する場合には、その事例の担当者に取材をすることもよくあります。
➃初稿完成後の追加取材
ライターが執筆してきてくれる原稿をチェックしてもらいます。
本1冊分なので、そこまで労力が必要というわけではありませんが、取材のときに話し漏れていたことなどがあれば、追加取材をして加筆してもらう必要があります。
追加の取材がなく、比較的スムーズに進むケースもあれば、初稿後にいろいろとアイディアが出てきて、多くの作業が必要となることもあります。
⑤校正
出版社が編集した後、校正の作業になります。
校正は、原稿の誤字脱字などを修正していく作業のことで、出版社はもちろん、著者である経営者、社員など多くの人の目を通して直していきます。
多くの人の目を通した方がミスを減らせますし、AIなどの技術が発達した今でも、まだ人の目で見て誤りを直していくという方法が効果的と考えられています。
⑥表紙デザイン等
原稿が完成したら、表紙デザインやタイトルを決めていく作業がメインとなり、労力はそこまで多くなくなります。
一方で、出版後の販促の準備などを開始する必要が出てくる段階です。
参考記事:出版は事前準備が9割|企業出版プロジェクトにかかる時間の目安
参考記事:ラーニングスによる企業出版プロジェクトの進め方をご紹介
以上のように、企業出版はそれなりに経営者にプロジェクトに参加してもらう必要があります。
でも、ライターを利用したり、また社員に参加してもらうことで労力を減らすことは可能です。
まとめ
今回は、企業出版を始める前に事業でチェックしておいた方がよいことについて紹介しました。
差別化できているか
売れる商材になっているか
ホームページなどは整っているか
費用の準備はできているのか
かけられる労力があるかどうか
上記5点をチェックしてからプロジェクトに着手することで、企業出版を最大限活用することができるでしょう。
労力はかかりますが、本づくりの過程は楽しくもあります。
時間がない場合は、社員なども巻き込んで分担してプロジェクトを進めるのがよいでしょう。
本業が疎かになってはいけませんが、時間が許せばぜひ検討してみていただければ幸いです。
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