プル型のマーケティング出版戦略『ブックLP 』施策の流れや考え方を解説
プル型の新規開拓は、顧客自身が商材の提供する価値を感じて、電話やメールで問い合わせをして、その問い合わせに営業社員が対応しながら受注につなげていく方法です。
プル型営業を成功させるためにはまず、商材の提供する価値を感じてもらえるような情報を発信する必要があります。
広告はもちろん、SEOやSNS、Youtubeなどを通じて情報発信を行い、顧客の関心を引きつけ、購買意欲を高める必要があるのです。
今回は、
プル型の新規開拓を行う際の考え方
本でプル型の新規開拓を行う「ブックLP」について
プル型の出版戦略の実施手順
プッシュ型とプル型、どちらの新規開拓の方法もそれぞれメリットとデメリットがありますが、理想的なのは社内リソースに合わせて安定して仕事を受注できる状態ではないでしょうか。
どちらかに特化して集中するのも一手ですし、商材に応じてプル型とプッシュ型を組み合わせた、より効率的な新規開拓戦略の構築を目指すのもよいでしょう。
記事の目次
プル型の新規開拓は罠で獲物を捕らえるイメージ
プル型の新規開拓は獲物を罠(ワナ)を仕掛けて捕らえる方法をイメージすると分かりやすいかもしれません。
獲物が欲しがるエサを用意して、そこに来た獲物を捕らえる方法です。
プッシュ型の狩猟に対して農耕を予想したかもしれませんが、本書はBtoBで無形商材を扱う事業者を前提としているため、顧客が自動的に購入してくれるというケースはあまり多くないはずです。
そのため、最終的には商談を実施するのが普通ということもあって、農耕ではなく罠がイメージに近いのではないでしょうか。
プル型のマーケティング出版戦略とは
プル型のマーケティング出版戦略は、あなたの会社の商材と相性のよい見込み顧客が読みたいと思う本をリーズナブルな価格で販売し、買ってくれた顧客に対して商談アポやセミナーへの案内を実施していく戦略です。
本をフロントエンドとして使うわけですが、単純に見込み客のリード獲得することだけを目的としているのではなく、本によるナーチャリングも同時に実現できるところがポイントとなります。
本を販売するといっても1,500~2,000円の本を買ってもらうのは簡単ではないと考えるかもしれません。
確かに、1,500~2,000円の一般的な本であれば、購入する段階で本当にその価値があるのかを検討することも多いでしょう。
でも、ワンコイン(500円)以下であればどうでしょうか。
興味がない本であれば買わないでしょうが、自分の悩みを解決につながりそうだったり、読めば自身の成長につながると考えたなら、購入することは不思議ではありません。
特に経営者はセミナーや勉強会に参加したり、本や業界紙を読んだりと勉強熱心な人が非常に多いですし、そうした人は優良顧客になりやすいです。
こうした経営者層をターゲットにしたプル型マーケティング出版戦略を私たちは「ブックLP」と呼んでいます。
ブックLP施策の流れ
ブックLP施策の全体の流れは以下の通りです。
理想とする顧客を想像する
その顧客が欲しくなる本の企画をつくる
本づくり
ランディングページをつくる
印刷製本してLPの広告を実施
梱包・発送業務
テレアポなどを実施して商談へ
広告運用をブラッシュアップしながらブックLPの継続実施
手順を紹介しながら解説させていただきます。
1.理想とする顧客を想像する
まずは理想とする顧客を考えてみましょう。
ブックLPはフェイスブック広告で運用することを前提としていますがフェイスブック広告は住んでいる地域や職業、興味や関心などを絞ったターゲティング配信が可能です。
そのため、最初の段階からターゲットを絞っておくことで、広告のコピー、コンテンツ、広告の精度を上げることが可能となります。
マーケティング用語でペルソナ設定という段階です。
2.その顧客が欲しくなる本の企画をつくる
ペルソナ設定ができたら、本の企画を考える段階となります。
ただ、ブックLPで作る本はブックDMのように配って使う本と違って、少額とはいえお金を出してもらうことを前提としております。
そのため、読むことによって課題が解決できそうだと思ってもらえるような本の企画を考える必要があります。
今回は、採用サイト制作に強みのあるホームページ制作会社ですが、本の企画として以下のようなタイトルの企画ではどうでしょうか。
『新卒応募者を集めるための採用サイトの作り方』
もちろん、この企画も悪くはありませんが、この本を読みたい人はおそらく採用サイトの変更を考えている人に絞られてしまいがちで、読者ターゲットも少し曖昧です。
もう少し、「この本に書かれているノウハウはうちの会社に必要そうだ」と思ってもらえるような企画にしないと500円でも払ってもらえないでしょう。
では、次のようなタイトルの企画ではどうでしょうか。
『地味な会社でも新卒応募が殺到する魔法 ~なぜ社員50名以下なのに100名超の新卒応募が来たのか~』
こちらのタイトルは採用サイトについては触れておりません。
でも、本を読み進めていくうちに新卒採用では、採用サイトがとても重要な役割を果たしているということに気づいてもらえるような内容にしていくわけです。
もともと、採用サイトの変更を検討している人にも読んでもらえる可能性もありますし、タイトルで「地味な会社でも」と伝えることで、新卒採用を実施した場合に少し苦労しそうな企業を対象にした本であることが明確になっています。
自社が地味な会社だから採用に苦労していると考えている会社であれば読みたいと思ってもらえる可能性がありますし、実際そうした会社は社内の雰囲気や経営者の考え方などの情報を、採用サイトを通じて発信することで応募増加につながることも想像できます。
マーケティングについて勉強している方であれば、ペルソナ設定についてはよくご存じかと思いますが、本の企画を考えるときにはペルソナ設定に加えて、
ペルソナが感じている課題や不満
あなたの会社の商材で解決できること
について深く考えなければなりません。
課題や不満が大きいほど、その解決のきっかけになりそうな本は買ってもらいやすくなります。
3.本づくり
出版の企画がまとまったら、本を作っていく段階になります。
本づくりについては一般的な本であってもブックDMでもブックLPでも実は大差はありません。
具体的な手順についてはラーニングスによる企業出版プロジェクトの進め方をご紹介で詳しく紹介しておりますので、そちらを参考にしてください。
4.ランディングページをつくる
ブックLPで作る本は、アマゾンや書店で買ってもらうわけではなく、販売ページとなるランディングページを作り、それを広告運用して販売していくことになります。
自社で販売ページを作るメリット
自社で販売ページを作るのは少々大変ですが、以下のようなメリットがあります。
●リードを獲得できる
書店で販売した場合は、どんな人が買ったのかという顧客情報を得ることができません。
自社でランディングページを作って直接販売をすることによって顧客情報がわかりますし、リードを獲得すれば、その後個別に連絡を取ることができるというメリットがあります。
リード獲得のメリットを考えると、アマゾンで販売して10冊売れることよりも、ランディングページで1冊売れた方が新規開拓には効果が高いとも言えるでしょう。
●販売ページは1冊の本を買ってもらうことのみに注力できる
書店ではたくさんの本の中で埋もれてしまう可能性が高いですし、アマゾンでは販売ページで表現できることが限られます。
ランディングページであれば、どのようなコピーライティングを掲載するかは自由に決められますし、動画を掲載することも可能です。
ランディングページは他サイトや他ページに遷移しないように1ページで完結するもので、目的を一つに絞ることで最大限発揮できるものですが、これはアマゾンや他のネットショッピングモールでは難しいのです。
上記2点のメリット以外にも書店で売らないことによって価格設定を自由にできるといったメリットもあります。
ブックLPは、本の販売で利益を上げることを目的とせず、良質なリード獲得手段と位置付けて実施していきましょう。
5.印刷製本してLPの広告を実施
本とランディングページが用意できれば、広告運用の段階です。
本の価格をワンコインぐらいに設定すれば、梱包・送料や発送手数料を合わせたが金額と同じぐらいになるので、広告費(+広告運用代行手数料)のみの費用負担で運営できる計算になります。
ネット広告というと、バナー広告やリスティング広告、フェイスブック広告が有名ですがおすすめはなんといってもフェイスブック広告です。
リスティング広告は、サービスを探していたり、悩みや課題が明確になっている人をターゲットとした場合に有用性が高いですが、ブックLPは潜在顧客の悩みを顕在化させる戦略です。
悩みや課題に焦点を当てるよりも読者に焦点を当てた方が効果を発揮しやすいのでフェイスブック広告と相性がよいのです。
最初はすぐに成果が上がらなくても、リターゲティング広告(一度広告を見た人に再度配信すること)で、購入につながることもありますし、少し当初とターゲットをずらすことが功を奏することもあるでしょう。
これはブックLPに限った話ではありませんが、デジタルマーケティングは根気強く実施して改善を重ねていくことが大切です。
6.梱包・発送業務
梱包・発送業務は最初のうちは自社で行うのもよいでしょうが、数が増えてきたら外注を検討するとよいでしょう。
ブックLPはワンコインほどの通常の本の価格よりもディスカウントされた価格で販売しますが、その500円ぐらいの金額はちょうど梱包・発送の外注費用と同じぐらいになります。
そのため、運用を開始した後は実質広告費のみが必要となっていくイメージとなります。
7.テレアポなどを実施して商談へ
本を郵送で届けて2~4週間ほどしたら、テレアポを実施することもおすすめです。
ブックLPで作った本を送る際は、商談アポの依頼のチラシやセミナーの案内を同封しますが、チラシを同封したからと言って商談アポの連絡やセミナーへの参加といった行動に移してくれる人は多くはありません。
少額とはいえお金を出して本を買ってくれる人は、本を読みたいと思ってくれたわけで、あなたの会社の商材とも非常に相性が良い顧客であると考えることができます。
せっかく、優良見込み顧客と連絡を取れる状態となっているので、それを活かした戦略を考えるのが賢明でしょう。
もちろんテレアポでなく、メルマガ配信などでナーチャリングを継続していくのもよいでしょう。
本を読んでもらい、補足説明や最新情報をメルマガでお伝えしながら、少しずつ興味を引き出していくという戦略が効果的です。
関連記事:BtoBにおけるナーチャリングの重要性とメルマガ·セミナー·本の活用
8.広告運用をブラッシュアップしながらブックLPの継続実施
先ほども紹介しましたが、ブックLPは、最初からターゲティングを絞って本づくりやLP制作を進めているのでフェイスブック広告での運用を前提とするとよいでしょう。
ただ、フェイスブック広告は出稿してそれで終わりではありません。
広告に使用するテキストや画像を常に改善しながら、ブックLPをあなたの会社の新規獲得の勝ちパターンの一つにするべく努めていきましょう。
どんなマーケティング施策でも、試しにやってみるという感覚ではなかなかうまくいかないものです。
まずは試行錯誤しながら勝ちパターンを作るという感覚で取り組むことが大切です。
まとめ
ざっくりと、ブックLPの流れをご理解いただけたでしょうか。
昨今のBtoBのマーケティング施策は
ホワイトペーパーのダウンロード
メルマガでのナーチャリング
セミナー参加や商談アポへ
という流れが一般的です。
ブックLPはホワイトペーパーのところを本に置き換えただけといえばその通りかもしれません。
また、最初に本を買ってもらうというアクションは、ホワイトペーパーに比べるとハードルが高いのは事実です。
ですが、顧客の考え方に与える影響はホワイトペーパーと比べて非常に大きなものとなります。
商材を買ってもらうまでに結構な量のナーチャリングが必要と考えている場合にはぜひブックLPの導入を考えていただくことをおすすめします。
一方で低価格の商材や比較的検討するのが容易な商材の場合は、前述のホワイトペーパーダウンロードからの新規顧客獲得戦略を考えるとよいでしょう。
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