プッシュ型のマーケティング出版戦略『ブックDM 』具体的な企画例も紹介
プッシュ型の新規開拓は、自社が提供する商材を積極的にアピールして、顧客を説得して購入を促す営業方法です。
これは電話営業や飛び込み営業、DMなどのアプローチを想像していただけるとわかりやすいと思います。
プッシュ型営業は、必ずしももともと興味がある顧客に向けて販売するわけではありません。
むしろ、そこまで興味があるわけではない顧客にヒアリングを実施し、その後購買意欲を作り出して販売していくという方法になります。
今回は、
プッシュ型の新規開拓を行う際の注意点
本でプッシュ型の新規開拓を行う「ブックDM」について
プッシュ型の出版戦略の実施手順や企画例
について解説していきます。
「いままで試したことがない新規顧客の獲得施策や既存リストの活用方法が知りたい!」という方は、ぜひ最後までご覧ください。
記事の目次
プッシュ型の新規開拓は狩猟のようなもの
例えれば、プッシュ型の新規開拓は狩猟のようなものです。
ハンターは広いサバンナの中で、獲物(表現は適切ではないかもしれませんがご了承ください)を探し出して狩りをしますが、まさにそんなイメージです。
できるだけ沢山の商談機会があれば成約数が増えやすいこともあって、どうしても下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるという考えになりがちですが、ただ、こうした考え方には注意する必要があります。
というのも、むやみやたらに新規開拓を実施しようとすると担当する営業社員が疲弊しやすく、結果として離職率が高まって採用費用が高止まりしてしまう可能性があるためです。
また、あまりに商材とマッチしていない人にアプローチすることは、会社の評判を下げてしまうことにもつながります。
プッシュ型のマーケティング出版戦略とは
プッシュ型のマーケティング出版戦略は、本をDMとして郵送して新規顧客を開拓する方法です。
ラーニングスでは『ブックDM』と名付けて、以下の手順で進めていきます。
法人リスト作成
リストを読者ターゲットとした本の企画を作る
本づくり
ブックDMの同封物作り
1.で作った法人リストに対してブックDM実施
テレアポなどを実施して商談へ
送る先を少しずつ変えながら改善
継続実施へ
手順について、簡単に解説していきます。
ブックDMの詳細は、BtoBの新規開拓を効率的に実現できるブックDMとは?をご覧ください。
1.法人リスト作成
ブックDMは、あなたの会社の商材と相性の良い法人リストを作ることから始めます。
これは、これまでの営業活動でも実施してきたことがある企業が多いはずです。
例えば、採用に関するコンサルティングや人材紹介を事業としている企業であれば、採用サイトに掲載されている企業をリスト化するのもよいでしょう。
また、飲食店専門のコンサルティングをサービスとしている企業であれば、飲食業者をリストアップすることになります。
なお、この段階ではあまりターゲットを絞り込みすぎないことも大切です。
というのも、ブックDMで作る本の企画はリストから考えることになるためです。
あまりに絞り込んだリストを作成して、そのリストを読者ターゲットとした本を作ると、その読者ターゲット以外に郵送先がないという事態に陥ってしまいます。
とはいえ、あまりに広すぎると誰にとっても興味のない本になってしまいますので、数千件~1万件ぐらいの郵送先があるリストを考えるとよいでしょう。
関連記事:送付先リストから考える、ブックDMで送るべき本のコンテンツ
2.リストを読者ターゲットとした本の企画を作る
あなたの会社が開拓したい顧客をリスト化することができたら次は、本の企画を考えます。
最初にリストを作ることで読んでもらう人は明確になっているはずですが、このリストをイメージして企画を立てることになります。
大切なことは、
あなたの会社を知ってもらうこと
興味を持ってもらって、この会社なら課題を解決してくれそうだと思ってもらえるような本の企画を考えること
の2つです。
企画の理想は、誰に何を提供する本なのかが簡潔に説明できる状態です。
例えば、新卒採用の支援事業を売り込みたい採用コンサルティング会社の本の企画として
「 社員50~100名規模の中小企業が、一人50万円の予算で新卒採用ができる方法を伝える本」
であればどうでしょうか?
社員100人未満で新卒採用を実施している企業からすれば、ぜひこの本を読んでみたいと思うはずです。
なお、ブックDMで郵送する本の出版企画を考える際には、会社案内になってしまわないように注意が必要です。
企画を考えていくうちにどうしても、自社のこの情報を伝えたいという思いが強くなり過ぎてしまい、結果として分厚い会社案内のような本になってしまうという失敗がよく起こるためです。
会社案内であれば、コンパクトにまとめた数ページのパンフレットを同封すればよいでしょうし、そもそも分厚い会社案内を時間をかけて読みたいと考える人は、もともとあなたの会社やサービスに興味のある人だけです。
ブックDMで送る本の役割は、興味を喚起して、「この会社ならうちの会社の課題を解決してくれそうだ」と感じてもらうことです。
あくまでもニーズを引き出すことを考えて、あなたの会社ならではという企画を考えてみましょう。
参考までに、以下に企画書の例を紹介しておきます。
プッシュ型戦略としての出版企画の例
ここから、プッシュ型のマーケティング出版戦略として出版する際の企画の具体例をご紹介します。
〇Webマーケティング会社の顧客開拓を想定した場合の企画例
【仮タイトル】
なぜあのスクールは毎年30%の生徒増加が続いているのか
【キャッチコピーやサブタイトル】
オンライン×オフライン施策で生徒数増加を実現する魔法
【メイン読者ターゲット=ブックDMを実施するリスト】
教育業界全般(塾や予備校、英会話スクールや各種習い事に関するサービスを提供している会社)
【出版目的】
生徒数を増加するための施策としてウェブマーケティングの導入を検討してもらう。
短期的な施策ではなく、1年~3年をかけて取り組むことでデータを蓄積しながら成果を最大化する方法を伝える。
【内容】
ニーズ(必要)よりもウォンツ(期待や要望)をかきたてるコンテンツを目指す。そもそもウェブマーケティングに深く取り組んでいない企業や、取り組んでいても成果を上げられていない企業が対象となる。
事例を掲載し、生徒獲得のための施策は数年かけて取り組んでこそ成果を上げていけることを理解してもらう。
広告よりも将来的に生徒となってくれる可能性がある人をナーチャリングしながら信頼を獲得していく施策などを中心に紹介する。
【目次と内容例】
・はじめに
なぜこの本を書いたのか、著者のストーリーを紹介する。
・第一章 生徒数が増える教室×増えない教室
生徒数が毎年増えている塾や英会話教室などの例を紹介
生徒数が増えていない例も紹介して対比させながら、継続して増え続ける会社となりたいというウォンツを喚起する
・第二章 間違いだらけのウェブマーケティング戦略
ウェブマーケティングに取り組んでいる会社は多いが、成果をあげられていない会社もまた多いことを解説する
ただホームページを作ったりマッチングサイトに登録するだけでは意味がないことを伝える
・第三章 教育事業のウェブマーケティング
実際にどのようなウェブマーケティングに取り組めばよいのかについて紹介していく
一般的な情報ではなく、塾や予備校の地域や規模に合わせたノウハウを伝えることで、セオリー通りやるのではなく、自社に適した方法を選択する必要があることを理解してもらう
・第四章 3年後の生徒数増加へのストーリー
長期的な目線をもって取り組むことの大切さと、3年スパンで見たときにそれぞれ何をやっていけばよいのかについても解説する
一方、3年という長期スパンだとすぐに行動に移してもらえないことも想定されるので、すぐに取り組める施策も紹介
・第五章 最低限押さえておきたいチェックリスト
取り組みやすいウェブマーケティング施策などを紹介してまずは小さくてもスタートを切ってもらうことを促す
・あとがき
ウェブマーケティングやウェブコンサルティングのサービスの紹介を簡単にする
・PR 自社サービスの紹介やダウンロード資料などを紹介する
上記の企画では、課題解決よりも顧客のウォンツを引き出すことに注力しています。
Webマーケティングは、効果が出るまでに費用も期間もかかるものです。
そのため、長期的視野に立って予算を用意して取り組んでもらえるようなクライアントを発掘することが必要となるため、上記のようにウォンツを刺激するような企画案が向いているでしょう。
関連記事:新規開拓の勝ちパターンを見つけることの重要性|戦略立案の具体例も紹介
3. 本づくり
出版企画がまとまれば本づくりを進めていくことになります。
簡単に紹介すると
出版企画に基づいてヒアリング取材を実施
ライターが原稿を作成
初稿を見直して場合によっては追加取材を実施
DTP等の作業
タイトルと表紙の決定
印刷製本
という流れとなります。
本づくりの具体的な手順についてはラーニングスによる企業出版プロジェクトの進め方をご紹介で詳しく紹介しておりますのでそちらを参考にしてください。
4.ブックDMの同封するパンフレット作り
本づくりと並行して、ブックDMに同封するパンフレットなどについても制作を進めていきましょう。
本は長期に渡って使い続けることを前提としているため、リアルタイムの情報を載せるのは適切ではありません。
また、ただ本を送るだけでは商談のアポにはつながりづらいため、個別説明会やセミナー案内のチラシ等の同封が必要となります。
あなたも本を読んで早速その著者に問い合わせたという経験はないはずです。
でも、本と同封されているチラシに
「無料診断を実施中です」
「より詳しい情報をお伝えするクローズドセミナー開催中です」
と記載されていたらどうでしょうか。
もう少し詳しい話を聞いてみようかなと行動に移す可能性が出てきます。
本を読んでもらった後にどんな行動をしてもらいたいのか、これは本に記載するのではなく別途チラシを用意して同封しましょう。
5.1.で作った法人リストに対してブックDM実施
本ができたら、あとはリストに対してブックDMを実施することになります。
ブックDMは本に加えて会社案内や4.で制作したチラシなどを同封することになります。
ただ、同封物はできれば少なめにすることが大切です。
せっかく送るのだから、どれか興味を引いてもらえればありがたいと考えて同封物を増やしてしまうと送料も余計にかかりますし、受け取った側から考えてもあまりに宣伝ばかりされるとよい印象を持たず、結果として本も読んでもらいにくくなってしまいます。
6.テレアポなどを実施して商談へ
ブックDMは送りっぱなしでも問い合わせやセミナーへの参加を期待することはできますが、送付後しばらくしたらテレアポを実施するのがおすすめです。
「先日、●●という書籍を送らせていただいた株式会社△△の〇〇と申しますが、本でご紹介させていただきました内容につきまして、より詳しい話をさせていただけたら嬉しいのですが~……」
とテレアポを実施することによって、いきなりテレアポをかけるよりもアポ率は高くなりますし、見込み顧客も見つけやすくなります。
飛び込み営業でも、あらかじめチラシをポストに配っておいて、その後飛び込み営業を実施したほうが成功率が高いと言われています。
テレアポが慣れていない、あるいはノウハウや実施するリソースがないという企業であっても、テレアポ代行会社を利用するといった手段もあるので検討してみてください。
7.送る先を少しずつ変えながら改善
1.で作ったリストにブックDMを実施したらそれで終わりというわけではありません。
当初予定していないリストでも、つくった本と相性の良い企業群があったり、販売代理店となってサービスを取り扱いたいと連絡をいただくケースも多いためです。
実際、私たちの出版サービスも過去にホームページ制作会社様に、
「御社のサービスをうちのクライアントに紹介したいのですが……」
と連絡をいただいて代理店になってもらったというケースがありました。
代理店を募集する場合だけに限らず、新卒採用を検討している企業向けの本を、中途採用を実施している企業リストに送ってもよい反応が得られる可能性もあります。
この企業群は絶対に相性が良いだろう、と考えてブックDMを実施しても、既にライバル企業のサービスを導入済みで、商談アポのチャンスがもらえない可能性もあります。
ブックDMは、まさに今検討中という段階の顕在顧客はもちろん、今後検討する可能性のある潜在顧客へのアプローチにも適しているので、色々なリストに試験的にアプローチを実施し、反応が良ければさらにリストを追加していくという戦略も考えていきましょう。
8. 継続実施へ
さて、ブックDMを実施し続けていると、そろそろアプローチするリストがなくなってきたという段階が来るかもしれません。
他の新規開拓の手段でもそうですが、同じ方法をずっと続けていると、反応率は少しずつ悪くなっていくものです。
これは、そもそも新規開拓は相性の良い顧客、つまり、見込み度合いの高い顧客からアプローチするためであり、徐々に見込み度合いの低い顧客へのアプローチへと変わっていくためという理由があります。
もちろん、見込み度合いの高い顧客からアプローチするのはセオリーなので、仕方のないこととも言えます。
ブックDMも同様の現象が起きやすいのですが、その際は次のリストを作って再度本づくりから始めるという手段をおすすめします。
最初に中小企業向けの本を作ったのであれば、次は業種を絞って製造業向けの本や通販事業者向けの本といったように、業種や業態を絞ってみるのはいかがでしょうか。
また、別の商材を売るための本を作るというのも一手でしょう。
ちなみにブックDMで本を作ったのに効果を発揮できなかった、となるのが不安という方もいらっしゃいますが、掛け捨ての広告と違って本はブックDM以外でも使えるところがたくさんあります。
例えば、採用活動を実施するときに何を提供する会社なのかを理解してもらうために使うこともできますし、営業時に手渡して使うという方法もあります。
新規開拓に使うお金は掛け捨てとなってしまうことも多いのですが、ブックDMは本という資産が残るという特徴があります。
関連記事:出版後すぐに成果に結びつかなくても本の使い方はたくさんある
まとめ
ブックDMの手順は理解していただけたでしょうか。
まずは、法人リストを作るところからスタートしてみましょう。
営業資料ではなく、あくまでも興味を引き出すための本なので、読者が誰でどんな情報を欲しがっているのか、というところから考えて企画を練ることが大切です。
なお、もしどんな法人リストを作ればよいのかわからないという場合は、まず既存顧客を見返してその中の理想のクライアントから考えるとよいでしょう。
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