ニッチ脳神経脈管カンファレンス様

1冊の本を〇人で出版!?共著のメリット・デメリット

活動概要:脳・脊髄の血管解剖、稀な脳血管病変などをテーマにした医師の会
出版の目的:診療にかかわる医師や研究者、専門医受験生などに向けた論文精選集

本を共著で執筆するケースは珍しくありません

本業があって、その片手間に出版プロジェクトに取り組むとなると執筆にあまり時間をかけられません。

そんな時、社内のメンバーで執筆を分担することによって出版も楽になると考えられるでしょう。

それこそ、20人ぐらいの社員がいて5万文字の本を出版するとなると、一人2,500文字執筆すればよいということになります。

しかし実際のところ、共著はそんなに簡単なものではありません。

 

今回は、1冊の本を22人で執筆して出版したニッチ脳神経脈管カンファレンス(NNAC)の例を紹介しつつ、共著のメリット・デメリットを見ていきます。

 

2021/4/20出版

脳脊髄血管 発生から機能解剖、病態まで ニッチ脳神経脈管カンファレンス精選集II

小宮山 雅樹 (監修)
太田 貴裕 (編集)

記事の目次

    まとめ役が大切

    ニッチ脳神経脈管カンファレンス(NNAC)は脳・脊髄の血管解剖、稀な脳血管病変などをテーマにした医師の会です。

    ニッチというのは「隙間」という意味がありますが、珍しい症例を全国から持ち寄って、症状や治療経過などを知識・経験として共有すれば全体のレベルアップに繋がるという考えから年1回一堂に会し、ディスカッションして勉強する会として活動しています。

     

    今回の出版にあたってそれぞれの医師が症例等を持ち寄り、計22人が執筆をするという構図でプロジェクトは進みました

    その22人のまとめ役となったのが、東京都立多摩総合医療センター脳神経外科部長の太田貴裕先生です。

     

    共著の場合はなかなかまとまらず予想以上に出版まで時間がかかってしまう事態がよく起きるのですが、今回の本はかなりスムーズにプロジェクトが進んでいきました。

    2人の共著でも時間がかかるのに、22人となると本当に大変そうですが太田先生は、

    「過去7年くらいのプロシーディングから面白そうなものを私の方でピックアップして、章立てを考えました。目次の大枠を考えてから、選んだものを書いた先生に直接依頼をしていきました。予定は1か月遅れましたが、おおむねスムーズに出版することができました」

    とおっしゃっています。

     

    あらかじめ役割が決められてスケジュールを伝えることができれば、スムーズに進められそうですね。

    共著の場合、まとめ役を務める代表者の力量が試されるかもしれません。

     

    メリットは大きく3つ

    共著で出版するメリットには以下のようなものがあります。

    • 執筆者一人当たりの労力を減らせて原稿も早く仕上がりやすい

    • アイディアを出し合ってよりよい本になることも

    • 出版にかかる費用も分けることができる

    大きく上記3つがありますが、それ以外にも共著者に知名度があると、結果としてその人と共著で本を出版したという事実が自身のブランディングにつながるといったケースもあります。

     

    無視できないデメリットも大きく3つ

    次にデメリットを見ていきましょう。

    • (意見も原稿も)まとめるのが大変。読みにくい本になってしまう

    • お互いを頼りすぎて、内容が希薄になる

    • 共著にした意味がなくブランディングとして逆効果になる

    もちろん上記のようなことが必ずあるわけではありませんが、共著はいろいろと問題が起きるケースが少なくありません。

    あらかじめ共著者とは何を目的として、どのようにプロジェクトを進めていくのかをしっかりと打ち合わせして、プロジェクト進行中もこまめに連絡を取り合いながら進めていくことが大切です。

     

    出版できた時の喜びは大きい

    メリットとデメリットの両方あるのが共著ですが、世間一般的に共著はあまりおすすめされていない傾向にあるようです。

    関わる人数が多くなるほど、プロジェクトが進みずらくなってしまうのも否定的な意見が多い一つの原因かもしれません。

     

    とはいえ、プロジェクトがゴールまでたどりついたとき、大勢の人と喜びを分かち合えるというのは幸せなことです。

    一冊共著で出版して、その後自分だけで出版してみたいという方もいますし、逆に一人で大変だったからこそ次は共著で出版したいと考える人もいます。

    否定的な意見を気にせず共著者と意見を出し合いながら、
    「あの時、一緒に本を作ったのは楽しかったな~」
    と思えるような共著本の出版を目指してみてはいかがでしょう。

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