企業出版にかかる費用の目安と出版社の違い
記事の目次
昨今、企業出版サービスを提供する会社が増えてきています。
これまでは、出版社の中の一部門としてサービス提供されることが多かった企業出版サービスですが、昨今では印刷会社が新規事業としてサービスを始めたり、自費出版専門の会社が企業向けにサービスを展開しているケースもあります。
今回は、そもそも企業出版サービスにかかる費用にはどのようなものがあるのか、そしてサービスを提供している会社の種類と大まかな費用の目安について紹介していきます。
出版までの流れもざっくりとわかるので、イメージしながら読み進めてみてください!
この記事では
企業出版サービスにかかる費用
企業出版サービスを提供している会社
についてまとめています。
ぜひご覧ください!
企業出版サービスにかかる費用にはどのようなものがあるか
会社によってどんなサービスを提供するかは千差万別です。
企業出版サービスと謳っていても、よく確認してみると原稿をつくるのは企業側で、ほぼ印刷製本だけのサービスということもあります。
また、販促やPRにも力を入れていることを打ち出していながら、新聞広告に一度掲載されるだけで費用対効果が見合わないサービスなどが含まれていることもありますので、注意が必要です。
では、企業出版サービスに含まれる費用について、下記の3つに分けて解説していきます。
企画段階でかかる費用
本づくりにかかる費用
販促にかかる費用
1.企画段階でかかる費用
事業内容についてのヒアリングにかかる費用
企業出版を成功させるために必要なのは、著者である企業と出版サービスを提供する会社が同じ方向を向いてプロジェクトを進めていくことです。
そのため、プロジェクトを進める前の段階で事業内容や出版する目的についてのヒアリングを実施する必要があります。
企画立案にかかる費用
ヒアリングした内容を基に企画を立案します。
企業が自ら企画を考えることもありますが、第三者から見た視点というのも非常に大切で参考になるため、初めて企業出版に取り組む場合には目的を考えて出版後の使い方まで提案してくれる出版社を選ぶとよいでしょう。
大まかな企画立案までは、お試しで無料サービスとして提案してくれる出版社も多いので提案を見てから契約するのもよいでしょう。
なお、印刷製本の会社が提供するサービスの場合は本づくりに主眼を置いていることが多いため、企業側で出版企画から出版後の使い方まで考える必要があります。
2.本づくりにかかる費用
ヒアリング取材費用
社長へのヒアリング取材を実施します。
編集担当者に加えてライターさんが同席することも多く、時間も2~3時間×3~4回は必要になります。
ライティング費用
原稿は1~2か月ほどかけてライターさんが執筆します。
出版社は外部のプロのライターさんと業務委託で契約していることが多いため、依頼する出版社が違っても結局原稿をつくるライターさんは同じということも少なくありません。
DTPにかかる費用
DTPとは「Desk Top Publishing(デスクトップ パブリッシング)」の略で、パソコン上で紙面を再現して印刷用のデータをつくることをいいます。
ノンブルと呼ばれるページ番号を記載したり、章扉やノンブルの横の柱(章タイトルなどの記載)などで紙面を飾り、読みやすく魅力的な紙面をつくっていきます。
余談ですが、海外の本を見てみると簡素なつくりが多く、日本の本はかなりにぎやかで楽しそうなつくりになっている印象を受けます。
編集・校正にかかる費用
AIが発達したとはいえ、まだまだ編集や校正作業には「人の目」が必要です。
例えばラインとLINEのような表記のゆれを統一したり、もっとわかりやすい表現があれば変更していくなど、文章を読んで細かく確認していきます。
1~2回程度の見直しで完成することはほぼなく、4稿、5稿ぐらいまでは見直しを重ねていくのが一般的です。
表紙デザインなど装丁にかかる費用
表紙は企業のロゴカラーやターゲットとする顧客が好む色などを基に決めていきます。
企業がざっくりとしたイメージを伝えて、出版社が2~3案を提案し、その後修正を重ねながら完成を目指すのが一般的な流れです。
印刷製本費用
本の大きさやモノクロかカラーかの違い、ソフトカバーなのかハードカバーなのか、また紙の質、部数などによって印刷製本の費用が決まっていきます。
社史をつくる際やブランディングを目的とした企業出版の場合にはハードカバーを選択することも多いですが、マーケティングや採用などを目的とする場合にはソフトカバーで十分でしょう。
3.販促にかかる費用
多くの出版サービスは、本をつくるまででサービスの提供が終了しますが、出版後の販促活動についてもあらかじめ考えておく必要があります。
また、本づくりまでに予算を使い切ってしまって、出版した後に活用しきれなかったという失敗にならないように注意しましょう。
主な販促としては、
新聞広告
Amazon広告
書店でのプロモーション
フェイスブックなどのウェブ広告
雑誌広告
電車広告
があります。
書店でのプロモーションは書店に協力をしてもらう販促方法などがあり、特定の地域の書店に平積みや面陳列で展開してもらうといったプロモーションもあります。
上記の販促は主に本を売るための販促なので、本を買って読んでもらうことで企業に何かしらのプラスの作用がもたらされるという設計がしっかりとできていることが大切になります。
一方で本をツールとして使っていく場合には本の販促ではなく、活用にかかる費用を計算しておく必要があります。
例えば、本を無料でプレゼントするランディングページを用意して広告運用していく場合には、ランディングページの制作費やそのランディングページの広告費用などを用意しておく必要があります。
どのような会社が企業出版サービスを提供しているか
費用の次は、どのような会社が企業出版サービスを提供しているのかについて見ていきましょう。
大手出版社の一部門、あるいは子会社
誰もが名前を知っているような大手出版社の多くが、商業出版に加えて企業出版サービスも提供しています。
知名度のある出版社から本を出版できることに喜びを感じる人は多く、ブランディング目的の際には多少の費用がかかっても大手出版社から、と考える人も多くいます。
大手出版社は600~1,000万円程度と他の企業出版サービスに比べて高額になることが多いですが、目的と費用は考えて検討することが大切です。
大手出版社をおすすめするのは、比較的資金に余裕がある企業や業界大手の企業です。
自費出版専門の出版社
自費出版専門の出版社は主に個人の作品づくりの本を得意としていますが、企業出版に対応してくれる出版社も多いです。
個人を対象としていることもあり、費用面は大手出版社に比べて抑えられることが多いでしょう。
一般的には個人の作品づくりを得意としていることもあり、目的をヒアリングしての企画立案や出版後の活用についての提案は不十分となりやすい点は否めません。
複数タイトルの出版実績を重ねて、ある程度出版に関する知識や経験を積んだ後に活用すると費用も抑えられるため失敗は少ないでしょう。
個人向けのサービスがメインなので費用はリーズナブルで、ライターさんにライティングをお願いした場合でも、150万円~300万円ぐらいの費用が一般的です。
自費出版専門の出版社をおすすめしたいのは、原稿が完成していて後は出版するだけの状態となっている企業や装丁に力を入れたいと考えている企業です。
作品づくりの出版に長けている出版社が多いため、箔押しやハードカバーなどにも臨機応変に対応してくれます。
印刷製本会社の出版サービス
印刷製本会社が出版サービスを提供することが増えてきています。
企画やライティングなどの原稿作成までのサービス、そして販促については少し心許ない印象ですが、自社で企画立案や販促が行える会社であれば、印刷製本だけお願いするという使い方をすることで費用をかなり抑えることができるでしょう。
費用は本のサイズやカラー、部数や装丁で決まります。
印刷製本会社の出版サービスをおすすめするのは、自社内で完成原稿をつくることができる企業です。
マーケティングや編集を担当する社員が社内にいれば、その人を中心に本づくりを進めて原稿が完成した段階で印刷製本を依頼するとよいでしょう。
企業出版専門の出版社
企業出版を専門にしている独立系の出版社もあります。
専門にしていることによってノウハウも蓄積されていますが、何を得意としているかは少しずつ異なるのでそれぞれの出版社に話を聞いて、無料での提案を受けながら判断するようにしましょう。
ブランディングを目的とした出版を得意としている出版社もあれば、マーケティングを目的とした出版を得意としている出版社もあります。
費用は本づくりにかかる費用だけを見ると200~500万円ぐらいとなることが多く、それに加えて販促費用などを別途準備するのが一般的です。
企業出版専門の出版社をおすすめするのは、これから初めて企業出版に取り組もうと考えている中小企業やベンチャー企業です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
企業によって出版目的や予算が変わるため、一概にどこを利用すべきということはいえませんが、最初は企業出版専門の出版社に依頼するのが無難ではあると思います。
また、一社に決め打ちするのではなく、複数の出版社に話を聞くことで失敗の可能性を減らすことができます。
サービス内容や提案される企画、費用は出版社によって様々だと思いますが、複数の出版社に話を聞いているうちに自然と「この会社と手を組んで頑張ろう」と考えがまとまっていくはずです。
プロジェクトは半年から長いと1年ぐらいにも及びます。
費用やサービス面だけでなく、長期間のプロジェクトを一緒に協力して進めていける担当者、出版社かどうかについて考えて意思決定することが大切です。
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