今から始めよう!企業出版プロジェクトのスケジュールと手順
企業出版に取り組もう!と思っても、具体的にどのような手順でどんなふうにプロジェクトを進めていけばいいのか分からないと、せっかく大きな決断をしたのに立ち往生してしまいます。
今回は、実際に企業出版プロジェクトに取り組むことを決めた場合に、どのような手順とスケジュールで進めていけばいいのかについて解説します。
「企画」「製作」「活用」の3つの段階に分けて詳しく説明していきますので、ぜひ最後までご覧ください!
記事の目次
企業出版プロジェクトの流れ
企業出版プロジェクトは大きく3つの段階に分けることができます。
企画の段階
製作の段階
プロモーションや活用の段階
一つずつ見ていきます。
1.企画の段階
企業出版プロジェクトを成功させるためには、この「企画」の段階が非常に大切です。
まずは目的を一つ定めましょう。
そのうえで、読者ターゲットや企画概要、スケジュールや出版後の使い方についても決定していきましょう。
簡単に、企画の例を3つ紹介しますのでぜひ参考にしてみてください!
ケース①整体院に強みがあるウェブ制作会社
目的:ホームページ製作案件を増やす(整体院に特化しているというブランディングを実現して成約率アップ)
仮タイトル:整体院のホームページ 70の間違い!
企画概要:整体院のホームページでよくありがちな間違いを70個紹介して、どのように改善すればよいのかを解説していく。
70個の見開きで読み切れるコンテンツを掲載することで読みやすさを重視しつつ、集客とブランディングを実現できるホームページは整体院成功のために必要不可欠であることを理解してもらう。
70個の見開きコンテンツに加えて、ホームページからの集客が勝ちパターンになっている整体院の事例を複数紹介して、読者に自身の整体院のホームページをイメージしてもらえるようなコンテンツにする。
狙い:ホームページ制作会社は非常にたくさんあるためにどうしても価格競争に巻き込まれやすくなる。
相見積もりを取られて結局、受注につながらないことも多く、商談したうえでの失注が年間で100件近くある。
今回の本を出版することによって、自社が整体院向けのホームページ製作に強みを持っていることを理解してもらって成約率アップへとつなげていきたい。
出版後の使い方:商談時に手渡す、これまでの失注客に配布する
ケース②士業向けに強みがあるウェブコンサルティング会社
目的:月額のコンサルティング顧問契約の受託
仮タイトル:3年で圧倒的な顧客獲得を実現する!士業事務所の強化書
企画概要:タイトルや表紙ではウェブマーケティングのことなどを謳わず、まずは士業事務所を経営している人の興味を引き出す。
顧客を多数獲得したいと考えている士業事務所の経営者向けに3年間でPDCAを回しながらウェブマーケティングに取り組むことのメリットを伝えていく。
本のタイトルにある通り、結果を出すまでの期間を「3年」と区切ることで月額コンサルティング契約でありながらリミットがあって契約しやすくなる。
狙い:士業事務所の経営者の中には、そもそもマーケティングなどの活動を軽視している人も多くいる。
ただ、士業の数が増えている昨今、ウェブマーケティングを活用して集客活動を行っていかないとなかなか新規のクライアントを獲得できないという現実がある。
士業の経営者が自らウェブマーケティングに取り組むのは非効率であり、外部の力を頼ることでウェブから効率的に集客できることを学んでいただく。
同時に、ウェブ施策は時間がかかり、常に改善を重ねながら取り組んで初めて成果が出ることも強調して、月額でウェブコンサルティング会社と契約することが手っ取り早いと感じてもらう。(ニーズ喚起)
出版後の使い方:士業事務所へのブックDM(特に開業してまもない事務所がよい)、ブックLPをフェイスブック広告で士業の方向けに運用
ケース③新卒採用支援に強みがある採用支援会社
目的:初めて新卒採用に取り組もうと考えている企業を獲得
仮タイトル:初めての新卒採用まるわかり本
企画概要:
・初めて新卒を採用するためにはどんな考え方が必要なのか
・どれぐらいの社内リソースが必要なのか
・費用はどれぐらいかかるのか
など、新卒採用の担当者となった人が聞きたくなるコンテンツを網羅的に掲載する。
事例も紹介することで、採用支援の会社と二人三脚で新卒獲得を狙っていくイメージを持ってもらえるような本を目指す。
狙い:毎年継続して新卒採用に取り組んでいる企業は、採用支援を必要としていなかったり予算が決まってしまっている可能性が高いが、これから新卒採用に取り組む企業は予算が明確でなく獲得しやすい。
また、新卒採用に取り組む企業は成長中の企業であり、初めての新卒採用の支援に成功すれば翌年以降も継続して取引が続く可能性が高いので積極的に狙っていきたい。
出版後の使い方:ブックLPをリスティング広告で運用する(例えば「新卒採用 始め方」といったキーワードを狙う)、商談時に手渡す
いかがでしょうか?
プロジェクトに取り組む目的
出版企画(ターゲットや簡単な目次、スケジュールなど)
出版後の使い方
の3つが揃えば、製作の段階へと進んでいきます。
なお、目次については本づくりを進めながら適宜変更していくこともあります。
大切なのは軸を定めておくことであり、軸がぶれない限りは目的達成のために多少の改善は必要なのです。
2.製作の段階
製作は大きく以下の流れで進んでいきます。
ヒアリング取材
ライティング
編集・校正
タイトルや表紙の決定
印刷製本
ここは出版社間で大きな差はありません。
出版社と一緒にプロジェクトを進めていく場合には、出版社の担当者が
「次に~~を進めていきます」
「〇月×日までに~~をお願いします」
などと指示を出してくれるので、その指示に合わせて作業を進めていけば問題ありません。
各過程について、一つずつ見ていきます。
1.ヒアリング取材
著者(多くの場合で社長)へのヒアリング取材を実施して本のコンテンツの素材を集めていく段階です。
ヒアリング取材以外にもセミナー動画やブログ記事、サービス説明の資料など、本づくりのために必要となる可能性がある素材があれば出版社やライターに提供しましょう。
ライターは、集めた素材を取捨選択しながら原稿をつくりますが、素材が多ければ多いほど充実した原稿になりやすいです。
過去のインタビュー記事や社内報など、できる限りたくさんの情報を提供しましょう。
2.ライティング
素材を基にライターが執筆をします。
おおよそ1~2か月ぐらいで原稿が上がってくるのが一般的です。
複数のプロジェクトを同時並行で進めているライターが多いので、多少原稿の完成が前後することがあります。
いきなり完成原稿を上げてもらおうとすると、文のテイストや方向性で著者の意向と齟齬が出てしまう可能性もあるので、最初に1章だけ書いてもらってそれをチェックした後に残りの原稿を仕上げてもらうといった工夫も大切です。
ごく稀にですが、最初の1章のみ原稿を執筆してもらって、どうしても文体や表現が合わないという場合に他のライターさんに変更してもらうこともあります。
要望を言えば、それを反映してくれるライターさんがほとんどですが、得意分野などはライターによって少しずつ異なるので、変わった分野の本を依頼する場合やライターがまだ経験したことのない分野の原稿を依頼する場合には、まずは少しだけ書いてもらってその後を決定するとよいでしょう。
3.編集・校正
ライターの原稿が上がってきたら編集・校正作業へと進んでいきます。
編集作業は出版社が担当するのが一般的で、ライターの原稿を読んで部分的にリライトを依頼したり、追加でコンテンツが必要と感じられる場合には、追加取材を実施してコンテンツを追加していくこともあります。
ライターが書いてくれた原稿、その後に追加取材によるコンテンツ追加や編集作業を経て、初稿が完成となります。
初稿が上がってきた後は校正作業です。
校正作業は表現の統一や誤字脱字の修正などを行います。
校正作業は、パソコンで見るよりも印刷して赤ペンで修正を書き込んでいったほうが効率的にミスを発見しやすいものです。
校正作業を行ったら、それを反映した原稿が上がってきて2稿、それをまた校正作業をして反映した原稿が上がってきて3稿…という流れで進めていきます。
4.タイトルや表紙の決定
校正作業を行いながら同時に決めていくのがタイトルや表紙を決める作業です。
「あれ、タイトルは出版企画の段階で決めたのでは?」
と疑問に思うかもしれませんが、出版企画の段階のタイトルはあくまでも仮タイトルです。
仮タイトルは、プロジェクトに関係する人たちが共通認識となるようなタイトルをつけておくことが一般的であり、実際のタイトルは最後にもう一度再考することが多いです。
といっても、仮タイトルがそのまま本タイトルになることも多いです。
タイトルはかっこいいタイトルよりも、どんな本であるのかが伝わりやすいタイトルをつけましょう。
また、マーケティングで使ったり、特定のキーワードで検索して見つけてもらうことを目指す場合にはキーワードをしっかりと含んだタイトルにすることが大切です。
また、英文字のかっこいいタイトルもブランディングのためにはよいかもしれませんが、かっこよさを重視するのかわかりやすさを重視するのかはよく考えましょう。
タイトルに加えてサブタイトルを表記する場合にはそれも決めていきます。
タイトルが決まれば表紙を決める段階です。
表紙は、できる限りタイトルが見やすく目につきやすいデザインにするとよいでしょう。
小説や詩集といった作品は、デザイン性の高い表紙が採用されることが多いのですが、企業出版の場合はタイトルと同様、かっこよさよりも、どんな本かわかりやすいデザインを選択することをおすすめします。
タイトルと表紙は、本の顔です。
想定している読者ターゲットに興味を持ってもらうためによく考えて決めましょう。
5.印刷製本
原稿の校正作業が終わり、表紙とタイトルのデザインが決定したら印刷製本へと進みます。
ハードカバーやソフトカバーの選択、見返しの色紙や帯はどうするのかなどを決めていきます。
刷部数や時期によって多少前後することもありますが、おおよそ2~3週間ほどで印刷製本された本が手元に届きます。
以上が、製作の段階の流れです。
最初に申し上げた通り出版社が違っても、製作の流れはそこまで大きく変わるわけではありません。
なお、少しでも早く出版したいと考えている場合には編集・校正作業の段階を短縮するのが理想的です。
3.プロモーションや活用の段階
最後にプロモーションや活用の段階を紹介します。
この段階は【製作の段階】と同時並行で進めていく必要があります。
書店への営業活動はもちろん、プレスリリースを配信したり、無料書籍プレゼントキャンペーンを実施したり、出版と絡めたセミナーや人のご縁が仕事につながることが多い企業であれば出版記念パーティーの開催なども検討してみるとよいでしょう。
ブックLPを実施する場合には、ランディングページ製作も出版前に進めておくことで出版後に遅滞なく広告運用を開始できます。
企画を立てるところから出版までは概ね6~8か月かかります。
企業の担当者は通常の業務に加えて本づくりに取り組むことになるので、出版後には想像以上に大変だったと語る人も多いものです。
でも、完成すると達成感を得られることが多いのが本の出版の魅力でもあります。
出版してプロモーションが一段落すると
「これでやっと終わった」
と思うかもしれませんが、その時にはぜひ手を休めずに次回作についても考えてみてください。
継続して出版し続けることはなかなか難しいかもしれませんが、一方で継続することによって出版が企業の業績向上に大きく貢献していくことは少なくないのです。
まとめ
今回は、企業出版の手順とスケジュールについて「企画」「製作」「活用」の3つの段階に分けて解説しました。
【この記事のポイント】
企業出版の肝は「企画」。出版の目的から出版後の使い方まで軸を定めておく
企画~出版までの期間は約6~8か月
タイトルや表紙は「かっこよさ」よりも「どんな内容の本なのか」が伝わるように
「プロモーション」は「製作」と同時並行で進める
実際に企業出版に取り組む際には、ぜひ本記事をもう一度読み直してみてください!
企業専門出版のラーニングスがあなたの経営課題を解決します
\お気軽にお問い合わせください/
\出版に関する資料はコチラから/