企業出版の失敗事例4選|失敗のリスクとその原因をご紹介
これまで、ラーニングスが企業出版のお手伝いをさせていただいたほぼすべての企業様から、「本を出版してよかった」という感想をいただきます。
それは、最初の予定通りにはいかなかったとしても、本づくりの過程に価値を感じていただけたり、また、出版してみると想定していた以上に活用できる場面が多いためです。
とはいえ、失敗はないのかというとそういうわけではありません。
今回は、企業出版が失敗に終わってしまう場合の典型的なパターンを紹介していきます。
この記事では
企業出版の概要
企業出版で陥りやすい4つの失敗パターン
について解説しています。
あらかじめ失敗事例を学び、実際に企業出版に取り組む際には同じ失敗にならないように役立てていただければ幸いです。
記事の目次
企業出版とは?あらためておさらいしよう
本の出版には、商業出版、自費出版、企業出版などさまざまな種類があります。
中でも企業が費用を負担して出版する、いわば企業版の自費出版のことを「企業出版」といいます。
企業ごとにサービスをカスタマイズして出版することが多いために「カスタム出版」と呼ばれることもあります。
自費出版との大きな違いは、出版の目的です。
作品づくりの側面が強い個人の自費出版と異なり、企業出版は何かしらの経営課題の解決を目的として出版されるという特徴があります。
一般的に企業出版は、下記のような目的で取り組まれることが多いです。
ブランディング
周年事業の一環
マーケティング
採用活動
社員教育
営業強化
本をつくることではなく、上記のような経営課題の解決を目的としているため、あらかじめ出版後の活用方法についても想定して本づくりを進めていく必要があります。
また、自費出版の場合はハードカバーにしたり、表紙に箔押ししたりと装丁に費用をかけることも多いですが、企業出版の場合は費用対効果を考える必要があるためにできる限り本づくりにかかる出費を抑えて、出版後の販促やマーケティング活動に予算を割くことをおすすめしています。
より詳しい解説はこちらを参照ください。
企業出版の失敗パターンとその原因
先ほど、企業出版は経営課題の解決を目的としてつくられる、と述べましたが、取り組んでいくうちに本来の目的を忘れてしまい、せっかく苦労して出版したのにうまく活用できず失敗に終わってしまうこともありえます。
ここからは、企業出版の陥りがちな失敗パターンについて説明していきます。
なんのために作ったのかわからない本
費用がかかる企業出版
ベストセラーを目指して失敗
失敗しないという失敗
なんのために作ったのかわからない本
企業出版を成功させるためには、取り組む目的を定めて、あらかじめその目的を達成するための企画や使い方について関係者全員がイメージを一致させておく必要があります。
ただ、最初は一致していたイメージも本づくりが進むにつれて少しずつ変化していくこともあります。
もちろん、改善に向けた多少の変更はおすすめですしやるべきですが、コンテンツの追加には注意しなければいけません。
それこそ、このコンテンツも役立つから追加しようと、追加を続けた原稿は結局何が言いたいのかわからない本になってしまいます。
これは家づくりを想像してもらえればわかりやすいと思います。
家族構成がどうなっているのか、どういう考えで家をつくるのかの設計図はあらかじめ決まったうえで家づくりがスタートするのが普通です。
でも、その家づくりの途中で、お風呂をもっと豪華にしよう、トイレは各階にあったほうがよいと追加していったらどうなるでしょうか。
確かにお風呂が豪華なのは気持ちがいいかもしれませんし、各階にトイレがあったら便利な気もしないわけではないですが、その調子で追加を続けると最終的には誰のための何の家なのかよくわからない状態になってしまうはずです。
目的の達成に向けて改善するのはよいのですが、コンテンツを追加する際には目的に沿っているのかについて確認しながらプロジェクトを進めていくことが大切です。
費用がかかる企業出版
企業出版には費用がかかります。
経営課題の解決や事業を成長させていくための先行投資の費用となるわけですが、費用をかけすぎてしまえば回収が難しくなってしまいます。
もちろん、ただお金を抑えればよいわけでもありませんが、できる限り費用を抑えつつ目的達成を目指すべきです。
特にありがちなのは、本づくりにお金をかけてしまうという失敗です。
ハードカバーにしたりカラーにしたり、ページ数を増やして分厚い本をつくったり、紙質のよいものを使ったりと、こだわればこだわるほどかっこいい見た目の本ができるのは間違いありません。
でも、それほどの費用をかける意味があるのかについて、説明できない費用は抑えたほうが賢明でしょう。
また、社史やブランディング目的の場合にはハードカバーもよいかもしれませんが、あまりに分厚いと、そもそも読んでもらいづらくなります。
マーケティング目的であれば、ソフトカバーで帯がなくて比較的文字数の少ない本が読み切りやすくて効果を発揮しやすい傾向にあります。
さらに、予算配分での失敗もよく起こります。
特に、出版後の活用のための予算が残っていなければ、意図していた成果を上げるのは難しくなります。
例えば、出版とウェブマーケティングを絡めた施策の場合、マーケティングの効果がしっかりと出るまでには、ある程度の期間PDCAを回しながら広告予算の適切な配分を考える必要があります。
でも、その前に予算が尽きてしまえば、効果が出る前に施策を打ち切るという判断になってしまう可能性があります。
予算は多ければ多いほうがよいですが、本づくりにかける予算に加えて、出版後の活用に使う予算はしっかりと用意しておく必要があります。
他にも、時間をかけすぎてしまうという失敗もあります。
出版して活用できる状態になるまでに時間がかかりすぎれば、その分機会損失につながります。
昨日出版していれば今日その本を読んだ顧客を獲得できたかもしれません。
出版が数か月遅れればその分、効果が出るのも数か月遅れることになります。
完璧を求めすぎるといつまでも完成しないというジレンマが起きてしまいます。
誤字脱字だらけの原稿は問題ですが、しっかりと読者に役立つコンテンツになっていれば、早く出版して活用したほうが成果を上げやすくなりますし、時間をかければかけるほど、それだけ出版プロジェクトに携わっている人の時間を使うことになります。
特に社長の時間は大変貴重です。
本づくりばかりに時間を使って経営のために使える時間が少なくなってしまわないように気を付けて本づくりを進めていきましょう。
ベストセラーを目指して失敗
本がベストセラーとなればブランディングにもつながるし、印税でかかった費用の回収ができると考える人は少なくありません。
確かにベストセラーとなれば、企業の価値向上はもちろん、印税による費用回収が実現できることでしょう。
でも、そもそも出版不況といわれる昨今、狙って実現できるほどベストセラーは簡単ではありません。
それに加えて、企業出版はそもそもベストセラーを狙うと効果が得られないことが多いのです。
例えば、企業出版と相性がよい企業として経営コンサルティングの企業を例に考えてみましょう。
月額制の顧問契約となるコンサルティングサービスは、BtoB×無形商材で一件あたりの単価が数百万円以上となることも多い高額商材であり、企業出版との相性は非常によいビジネスモデルと考えられます。
この企業が出版に取り組む場合、読者ターゲットは誰になるでしょう?
おそらく経営の意思決定者である社長や役員クラスとなることが想定されます。
では、このクラスの人は全人口からするとどれぐらいの割合になるでしょうか?
おそらく1%未満ですね。
そもそも全人口の99%が読者対象となる本であってもベストセラーは至難の業であり、ましてや残りの1%を狙うとベストセラーはますます可能性が少なくなります。
このように、ベストセラーを狙った場合の読者ターゲットと企業出版で狙う読者ターゲットは一致しにくいことが多いのです。
少し話がそれますが、顧客のリード獲得を目的として本の出版を検討したいという相談を受けることがあります。
その場合は確かに一人でも多くの人に本を買ってもらい、本を読んでくれた後のメルマガ登録を狙う施策を考えるはずです。
でも、出版した本を買って読んでくれ、さらにメルマガに登録することを期待するよりも、実はホワイトペーパー施策(※)でハウスリスト(※)を獲得、そのハウスリストに無料で配布して成約を目指したほうが効率的なケースも多いのです。
(※)ホワイトペーパー施策とは
お役立ち資料やサービス資料のPDFをホワイトペーパーといいますが、企業名や氏名、メールアドレスを入力してホワイトペーパーをダウンロードしてもらう施策のことを、ここではホワイトペーパー施策と呼んでいます。
ダウンロードと引き換えに得られた顧客情報に情報提供をしながら、興味を喚起して顧客化を狙っていく方法が昨今のBtoBマーケティングの正攻法の一つとされています。
(※)ハウスリストとは
ハウスリストは企業が展示会や名刺交換、過去のお問い合わせや先ほど紹介したホワイトペーパー施策などによって保有することになった顧客情報リストのことを指します。
企業出版プロジェクトでは出版後にハウスリストに本を無料プレゼントして、そこからの費用回収を狙うことも多いです。
もちろん、獲得したい顧客や事業内容などから施策を考える必要がありますが、ここでは本を幅広くたくさんの人に買ってもらうことは大変と理解しておいていただければ幸いです。
企業出版で最優先に考えるべきことは経営課題の解決です。
本の宣伝も大切ではありますが、宣伝に費用をかけて本が売れなかった場合、投資した費用を回収するのは困難になります。
本を買ってもらうことに固執しすぎず、場合によっては無料キャンペーンで配布するといった施策も検討し、経営課題の解決を目指すことが企業出版成功のセオリーと考えましょう。
失敗しないという失敗
企業出版の失敗事例の最後に紹介するのは、そもそも始めないという失敗です。
何もしなければ失敗ではないと思うかもしれませんが、検討している段階で時間を使っていますし、チャレンジしていたら成功した可能性もあることを考えると、やはり始めないことは失敗という考え方もできます。
もちろん、企業活動においては優先順位があるのは間違いありません。
採用活動に投資をして人材を確保したり、ホームページのリニューアルに投資をしてネット上から訪問してくれた人を顧客化できるような仕組みも整える必要があります。
ただ、企業出版を考えられるようになった段階であれば、ある程度課題が明確にあり、企業出版に取り組める状況になっているケースが多いものです。
無責任なことを言うつもりはありませんが、ある程度検討段階が済んで予算的に問題がなければスタートするのも一手です。
やったことがないことにトライする決断は難しいものではありますが、やってみたらもっと早く始めていればよかったという結論になる企業も少なくないものです。
企業出版サービスを提供している会社の多くが無料相談会や無料企画書提案などを受け付けているので、まずは無料サービスだけでも申し込むところから始めてみてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は、
企業出版のおさらい
企業出版で陥りやすい4つの失敗パターン
についてまとめました。
ラーニングスでは、今回取り上げたような失敗にも十分注意しながら「企業出版サービス」のサポートをしています。
少しでも気になる点がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。
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