企業のビジョンブックとは?メリットからつくり方・活用方法まで徹底解説
最近、企業での人材教育や人材育成ツールの一つとしてビジョンブックが注目を集めています。
特に
社員数が増え続けている成長中のベンチャー企業
事業を継いだ2代目社長が経営する企業
M&Aを重ねて会社の規模が大きくなってきた企業
などが社員のベクトルを合わせたり、また社長の考えを浸透させるためにビジョンブックを使うケースが多いようです。
ここでは
ビジョンブックとはどんなものか
ビジョンブックを使うことがなぜ業績アップへとつながっていくのか
についてアンケート結果などを基に解説していきます。
記事の目次
企業のビジョンブックとは?
「ビジョンブック」とは、
その企業がどんな存在であるのか
何を目的として集まっている集団なのか
会社のこれまでの沿革
などを1冊の本にまとめたもののことを指します。
ビジョンブックを読むことで、社員や取引先などの関係者がその企業が目指すべき方向を理解することができ、エンゲージメントを高めることができます。
一人で運営している会社や個人事業主であれば、自分だけが全体を把握していれば事足りるかもしれませんが、社員などの関係者が増えて組織となると話は難しくなります。
組織に属する人が好き勝手に動いた場合の業績と、一致団結して動いた場合の業績とでは非常に大きな差が生まれるものです。
なぜ、今ビジョンブックが人気なのか?
ベストセラーとなった「ビジョナリーカンパニー(ジム・コリンズ・著、山岡洋一・翻訳)」や「パーパス経営(名和 高司・著)」などの本を読むと、企業のあるべき姿や目指すべき方向性が定まっていると業績は伸び、社員や顧客の満足度が高まって、より社会に良い影響を与える素晴らしい企業となっていくことが解説されています。
上記の本以外にも経営者の悩みとして人材に関するものが多いというデータや企業ビジョンの明確化、明文化が業績と連動していることを証明しているアンケート結果があるのでここで紹介しておきます。
まずは、次のグラフをご覧ください。
経営者は人材に関して悩み続けている
こちらのグラフは、「2021年度(第42回)当面する企業経営課題に関する調査」(一般社団法人日本能率協会)における現在の経営課題に関するアンケートをグラフにしたものです。
「現在」の課題(上位5項目)の3年間の推移を見てみると、上位から
収益性の向上
人材の強化(採用・育成・多様化への対応)
売り上げ・シェア拡大
の順に並んでいる様子がうかがえます。
次に「3年後」の課題(上位5項目)の3年間の推移を見てみましょう。
こちらのグラフを見ると
人材の強化(採用・育成・多様化への対応)
新製品・新サービス・新事業の開発
事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築
の順に並んでいます。
人材に関する悩みは今現在も、そしてこの先もずっと続くことが想定されており、いつの時代も経営者の頭を悩ませ続ける問題であることは否めません。
でも、逆に言うと、人材の悩みを解決することが出来れば、新事業や既存の事業の強化に手を打つことが出来ることが読み解けます。
売上・利益が大きいほど経営理念がある
ビジョンブックは経営理念を社員に浸透させるツールの一つですが、売上と経常利益が大きい会社には共通点があります。
下記の二つの表をご覧ください。
これら二つの表は「1枚のシートで経営を動かす(宮田矢八郎・著)」を基に作成したものですが、売上高が大きければ大きい企業ほど、また経常利益が大きければ大きい企業ほど経営理念を保有していることが分かります。
活力ある中小企業は経営理念を明確化している
中小企業経営のあるべき姿に関する調査(経済産業省関東経済産業局 平成22年3月)のアンケート結果も紹介させていただきます。
経営理念を明確化しているかについてのアンケートなのですが、こちらは活力ある中小企業であっても赤字基調企業であっても大きな差はありません。
でも、経営理念を実践できているかについてのアンケートを見るとどうでしょうか?
こちらを見ると、活力ある中小企業と赤字基調の企業には大きな差が生まれています。
活力ある中小企業は経営理念を明確化した上で実践できているのです。
社員への企業理念の浸透を促すビジョンブック
まずは経営理念を明確化することは大切です。
ただ、明確化するだけでは意味がありませんが、実際に経営理念を額縁に入れて飾ってある企業は少なくないはずです。
経営理念を明確した後には、それを社員にいかにして浸透させるかを考えて実行する必要があります。
そのための有効な手段の一つがビジョンブックです。
ビジョンブックは前述の通り、
その企業がどんな存在であるのか
何を目的として集まっている集団なのか
会社のこれまでの沿革
といった内容を記載して、社員に自分が勤めている会社がなんのために存在しているのかを理解してもらうために使います。
経営者の想いをしっかりとビジョンブックに込め、そのビジョンブックを繰り返し目を通してもらいましょう。
ビジョンブックは作った後が大切
ビジョンブックは作るだけで満足してしまう経営者が多い点には、注意が必要です。
読んでおいてくださいと伝えるだけでは、おそらく効果を発揮することはできないでしょう。
大切なのは、作った後です。
会議の度に繰り返し読んでもらうというのも一手ですし、例えばラーニングスのビジョンブックの場合、月に一度行われる上司との1on1で使用することを前提としてメモ欄をたくさん用意したものを作りました。
上司との1on1の度に使うので必然的に目を通すことになりますし、ビジョンブックに書かれている内容について社員同士で話し合う時間を作るのも、理念の浸透に一役買ってくれるかもしれません。
ビジョンブックプロジェクトで大切なことは完成後の使い方です。
ただ読んで終わりにならないよう、使い方も決めた上で作っていくようにしましょう。
まとめ
ここまでお読みいただきありがとうございました。
経営者の人材に関するストレスの軽減のためにも、業績向上のためにも、経営理念を明確化して浸透させることは非常に大切です。
そして、それを実現するための様々なツールの中でもビジョンブックは非常に有用性が高いと考えています。
ビジョンブックを作るのは簡単ではありませんし時間もかかりますが、作ってそれを活用すればきっと効果を実感していただけるはずです。
もし少しでも興味を持っていただけたなら、まずはご連絡をくださいませ。
お問合せ、心よりお待ちしております。
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